現場加工と工場加工|どちらを選ぶか
2026.11.01
一枚板の加工を、どこで行うか。
工場で仕上げてから搬入するのか、現場に持ち込んでから加工するのか。この判断は、精度・費用・スケジュールのすべてに影響します。
この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、比較と判断基準を整理します。

工場加工
材を加工場に置き、寸法どおりに仕上げてから現場に運ぶ方法です。
長所
- 精度が高い。定盤、大型の機械、集塵設備が使える
- 天候に左右されない
- 粉塵・騒音が現場で出ない
- 塗装を安定した環境で行える(湿度・温度の管理ができる)
- 乾燥の状態を見ながら作業できる
- 現場作業の日数が短い
短所
- 現場の実寸に合わせられない
- 壁の不陸(歪み)に対応できない
- 図面と現場の差が出た場合、手戻りになる
- 完成品を搬入するため、傷のリスクがある
弊社の加工について
弊社の加工は、工場加工が基本です。
ご希望のサイズへのカット、面取り、塗装などを承っています。ただし、木材の種類・形状・厚みによってできる加工が変わります。気になる板と、やりたい加工をセットでご相談ください。
なお、加工をご依頼いただいた商品は返品をお受けできません。

現場加工
材を現場に搬入し、そこで最終的な寸法に合わせる方法です。
長所
- 現場の実寸に合わせられる
- 壁の不陸に沿わせられる(現場合わせ/スクライブ)
- 図面と現場の差を吸収できる
- 施工中の変更に対応しやすい
短所
- 粉塵と騒音が出る。他工種との調整が必要
- 集塵設備がなく、現場が汚れる
- 大型機械が使えず、精度が落ちやすい
- 天候・環境に左右される
- 塗装の品質が安定しにくい
- 失敗したときに材を失う
- 現場作業の日数が増える
誰が行うか
現場加工は、施工者・造作家具業者の作業領域になります。
一枚板は硬く重いため、扱いに技術と道具が要ります。経験のある職人でなければ、削りすぎる、木目を毛羽立たせる、割るといった失敗が起こります。
施工者に、一枚板の加工経験があるかを事前に確認してください。
比較表
| 項目 | 工場加工 | 現場加工 |
|---|---|---|
| 精度 | 高い | 職人の技量次第 |
| 実寸への対応 | できない | できる |
| 不陸への対応 | できない | できる |
| 粉塵・騒音 | 現場に出ない | 出る |
| 塗装品質 | 安定 | 環境に左右される |
| 現場作業日数 | 短い | 長い |
| 失敗時のリスク | 工場で対処できる | 材を失う可能性 |
現実解|組み合わせる
実務では、両方を組み合わせるのが一般的です。
工場で行うこと
- 粗加工(おおよその寸法までカット)
- 面取り
- 研磨・仕上げ
- 塗装(環境が安定した場所で行いたい)
現場で行うこと
- 壁への当たりの調整(現場合わせ)
- 最終的な微調整
- 据付、固定
- 必要に応じた部分的な補修
「工場で仕上げ、現場で微調整する」。これが最も無理のない進め方です。
そのための発注の工夫
現場調整を見込む場合、仕上がり寸法より少し大きめに発注するという考え方があります。
- 現場で削って合わせる余地を残す
- ただし、削れば塗装をやり直す必要がある
- 塗装の再施工を現場で行えるかを、施工者と確認する

不陸への対応をどうするか
壁は真っすぐではありません。この差をどう処理するかで、方式が決まります。
方式1|現場合わせで削る
壁の形に沿って天板を削る。最も美しく納まります。
- 現場加工の体制が必要
- 削った部分の塗装のやり直しが必要
方式2|隙間と見切りで吸収する
最初から隙間を大きめに取り、見切り材やシーリングで隠す。
- 工場加工だけで完結する
- 施工が確実
- 意匠としての割り切りが必要
多くの現場では、方式2が現実的です。
判断のチェックリスト
- 施工者に一枚板の加工経験があるか
- 現場に粉塵を出せる状況か(他工種、居抜き、営業中の店舗)
- 壁の不陸にどこまで対応する必要があるか
- 塗装を現場でやり直せるか
- スケジュールに現場作業の日数を織り込めるか
- 失敗したときの材の手配ができるか
6番が重要です。一枚板は一点ものです。現場で失敗しても、同じ材は手に入りません。
まとめ
- 工場加工は精度と品質が安定するが、現場の実寸に合わせられない
- 現場加工は実寸・不陸に対応できるが、粉塵・精度・失敗リスクがある
- 弊社の加工は工場加工が基本
- 実務では「工場で仕上げ、現場で微調整」が現実解
- 不陸は現場合わせか隙間+見切りか。多くの現場では後者が現実的
- 現場加工には一枚板の経験がある施工者が必要
- 一点ものなので、現場での失敗は取り返しがつかない
加工内容のご相談を承っています。どこまでを工場で行い、どこを現場に残すか、施工者の方を交えてご相談いただけます。
あわせて読みたい:壁との取り合い|隙間・シーリング・木の動き