予備材という考え方|万一に備える発注
2026.11.05
建材や既製品なら、足りなければ追加発注すればいい。
一枚板には、それができません。一点ものだからです。
では、万一に備えて予備を持つべきか。この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、現実的なリスク管理を整理します。

どんな「万一」がありうるか
まず、リスクを具体化します。
1. 加工の失敗
- カット位置を間違える
- 開口の寸法を誤る
- 削りすぎる
工場加工なら、確認体制で防げます。現場加工では、リスクが上がります。
2. 搬入時の破損
- ぶつける
- 落とす
- 角を欠く
重量物であり、長尺です。搬入は最もリスクの高い工程です。
3. 施工中の損傷
- 他工種による傷
- 資材の落下
- 養生不足
4. 設計変更
- 寸法が変わった
- レイアウトが変わった
- すでに加工してしまった後だと、対応できません
5. 将来の増席・改装
- 席を増やしたい
- 別の場所にも同じ材を使いたい
予備材を持つべきか
結論から言えば、多くの案件では現実的ではありません。
理由1|コストが倍近くになる
一枚板は安価ではありません。予備をもう一枚持つということは、その分の費用がそのままかかるということです。
理由2|同じ材にはならない
予備を持つとしても、それは別の一枚板です。色も木目も違います。
「万一のときに、同じものに替えられる」という意味での予備にはなりません。
理由3|保管の問題
予備材は、正しく保管しないと反ります。
- 立てかけない
- 床に直置きしない
- 水平な台に、同じ厚みの桟を等間隔に入れる
- 室内の安定した環境で
店舗にこの保管場所を確保できるかは、現実的な問題です。

では、どう備えるか
予備材を持つ代わりに、リスクを減らす方法があります。
備え1|工場加工を基本にする
現場加工のリスクを避けます。工場なら、
- 定盤と大型機械で精度が出る
- 万一の失敗も、工場側で対処できる余地がある
- 現場での作業を最小化できる
弊社の加工は工場加工が基本です。
備え2|設計を確定してから加工する
加工をご依頼いただいた商品は、返品をお受けできません。
- 機器の実物寸法で確認する
- 社内決裁を経てから確定する
- 「たぶんこの寸法」で発注しない
設計変更のリスクは、加工前に潰してください。
備え3|少し大きめに発注する
現場調整の余地を残す方法です。
- 仕上がり寸法より少し大きめに加工してもらう
- 現場で微調整する
- ただし、削れば塗装のやり直しが必要
施工者に現場加工と再塗装の体制があるかを確認してください。
備え4|搬入計画を徹底する
破損リスクは、搬入時に集中します。
- 経路を実測する
- 養生を徹底する
- 十分な人数を確保する(100kg超なら4人以上)
- 搬入業者に、一枚板の扱い経験があるか確認する
備え5|施工中の養生を仕様に入れる
- やわらかい布+養生ボード
- 天板に直接テープを貼らない
- 密閉しない(通気を確保)
- 角と耳を保護する
養生の方法を、施工仕様書に明記してください。

予備材が意味を持つ場面
一方で、予備を検討する価値がある場合もあります。
同じ丸太から複数枚取れる場合
一本の丸太から数枚取れるとき、予備を含めて確保しておく。
- 色と木目が近い
- 万一のときに、比較的近いもので代替できる
- 将来の増席にも対応できる
これは予備材として最も意味のある形です。
長期の複数店舗展開
複数店舗に同じ樹種を使う計画がある場合、まとめて確保しておくという考え方はあります。
ただし、保管場所と保管方法の問題が残ります。
補修用の小片
万一の補修用に、同じ材の小片を残しておく。
- 埋め木、チギリの材として使える
- 場所を取らない
- これは現実的で、おすすめできます
加工時に出る端材を、捨てずに取っておいてください。
弊社の対応
- 加工をご依頼いただいた商品は返品をお受けできません
- 当店に過失がある場合は返品・返金に応じます(商品到着より1週間以内にご連絡ください)
- すべて一点もののため交換は難しいのですが、天板については近い見た目のもので対応できる場合があります
「近い見た目のもので対応できる場合がある」という点は、覚えておいてください。同一ではありませんが、代替の可能性はあります。
まとめ
- 一枚板は失敗しても同じものが手に入らない
- しかし予備材を持つのは、多くの案件で現実的でない(コスト・同一性・保管)
- 代わりにリスクを減らす:工場加工、設計確定後の発注、搬入計画、養生の明記
- 同じ丸太から複数枚取れる場合は、予備の意味がある
- 補修用の小片を残すのは現実的でおすすめ
- 弊社では、天板について近い見た目のもので対応できる場合があります
リスク管理を含めたご相談を承っています。案件の規模と体制をお知らせください。
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