一枚板を親子で使い継ぐ|「受け継ぐ」という買い方
2026.10.15
一枚板をお求めになった方から、よくうかがう言葉があります。
「これは子どもに残すつもりです」
一枚板には、それを自然に思わせる何かがあります。この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、「使い継ぐ」という視点から一枚板を考えます。

なぜ一枚板は使い継げるのか
削り直せるから
一枚板は、天板の全厚が無垢材です。表面が傷んだら、削って仕上げ直せば、新しい面が出てきます。
一回の削り直しで減る厚みは1〜3mm程度。厚み50mmの天板なら、計算上は十数回削れます。
表層0.2〜0.6mmの突板では、これができません。一枚板には「寿命」という時点が来にくいのです。
構造が単純だから
一枚板の天板は、一枚の板です。接着層もなければ、複雑な構造もない。壊れる箇所がほとんどありません。
脚は交換できます。塗装はやり直せます。天板そのものが割れない限り、機能は失われません。
時間が味方になるから
一枚板は、年月とともに色が深まります。ケヤキは飴色へ、栗は渋みのある茶褐色へ、桑は濃い褐色へ。
買った日がいちばん美しい家具ではない。これは、引き継ぐ相手にとっても価値があります。
使い継ぐことを前提に選ぶなら
1. 厚みに余裕を持たせる
削り直しの回数は、厚みが決めます。世代を超えて使うつもりなら、5cm以上を選んでおくと安心です。
2. 硬い樹種を選ぶ
ケヤキ、クリのように硬い樹種は、傷が入りにくく、削り直しの頻度を減らせます。
もちろん、杉やヒノキの柔らかさを承知で選ぶのも立派な選択です。傷を記録として受け入れるという前提であれば。
3. 十分に乾燥した材を選ぶ
長く使うほど、材の安定性が効いてきます。乾燥年数を必ず確認してください。
弊社が扱う材には、自然乾燥に20年以上かけたケヤキや、伐採後30年かけて乾かした杉があります。
4. 飽きない表情を選ぶ
強い個性は最初は魅力的ですが、数十年見続けることを考えると、素直な木目のほうが飽きないという考え方もあります。
ここは好みです。ただ、「いま欲しい」だけでなく「二十年後も好きか」を一度考えてみてください。

引き継ぐときに伝えたいこと
もし次の世代に渡すなら、次の情報を一緒に残してください。
- 樹種
- 産地
- 樹齢
- 乾燥年数
- 購入した年と、購入した店
- 仕上げの種類(オイルかウレタンか。手入れ方法が変わります)
- これまでの手入れの記録
とくに仕上げの種類は重要です。オイル仕上げとウレタン仕上げでは、手入れの方法がまったく違います。知らずに間違った手入れをすると、傷める原因になります。
紙に書いて、天板の裏に貼っておくという方法もあります。
傷をどう引き継ぐか
数十年使えば、傷は必ずつきます。
引き継ぐときに、削り直すか、そのまま渡すか。これは判断が分かれるところです。
- 削り直す:新しい気持ちで使いはじめられる
- そのまま渡す:前の世代の時間が残る
私たちがお伝えしているのは、急いで決めなくてよいということです。削り直しは、いつでもできます。しばらくそのまま使ってみて、それから決めても遅くありません。
木にとっての時間
考えてみると、不思議な話です。
樹齢200年のケヤキが、20年の乾燥を経て、家に来る。それを30年使い、子の代に渡す。子がまた30年使う。
木が生きた200年に対して、家具としての60年。木にとっては、まだ途中の話です。
弊社が扱う樹齢1400年の杉は、伐採後30年かけて乾燥させています。千四百年と三十年。この木の時間軸で考えれば、私たちが使う数十年は、ほんの一瞬です。

私たちの仕事も、受け継ぐこと
木六竹八は、7代にわたり木こりを生業としてきた家系です。
七代。一代を30年と数えれば、200年を超える時間です。父の代が積んだ材を、子の代が使う。木を扱う仕事とは、そういうものです。
受け継いできた名木を、次の世代へ渡していく。それが私たちの使命だと考えています。
お客様が一枚板を子や孫に渡すとき、そのつながりは私たちの仕事の延長線上にあります。
まとめ
- 一枚板は削り直せるため、世代を超えて使える
- 使い継ぐなら、厚み5cm以上、硬い樹種、十分な乾燥を意識する
- 引き継ぐときは、樹種・産地・樹齢・乾燥年数・仕上げ・手入れの記録を一緒に渡す
- 仕上げの種類は、手入れ方法に直結するため必ず伝える
- 削り直すかどうかは、急いで決めなくてよい
長くお使いいただくための材選びについて、ご相談を承っています。お問い合わせには3営業日以内を目安にご返答しています。
あわせて読みたい:一枚板テーブルの寿命|削り直して使い継ぐという考え方