店舗の床の耐荷重|一枚板カウンターの重量をどう見るか
2026.10.25
長尺の一枚板カウンターは、想像以上に重い。
「床は大丈夫か」という質問をよくいただきます。この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、具体的な数字で整理します。
なお、構造の可否判断は設計者・構造設計者の業務です。弊社は木材の販売業者であり、構造判断を行う立場にはありません。以下は検討の材料としてご覧ください。

まず、重さを計算する
木材の重さは、気乾比重から計算できます。
重さ(kg)= 体積(立方メートル)× 気乾比重 × 1000
樹種別の気乾比重(目安)
| 樹種 | 気乾比重の目安 |
|---|---|
| 桐 | 0.2〜0.3 |
| 杉 | 0.4前後 |
| ヒノキ | 0.4〜0.45 |
| クスノキ | 0.5前後 |
| 栗 | 0.55前後 |
| ケヤキ | 0.6〜0.7 |
カウンターの重量を計算してみる
ケース1|奥行60cm × 長さ3m × 厚み6cm
体積 = 0.6 × 3.0 × 0.06 = 0.108立方メートル
| 樹種 | おおよその重さ |
|---|---|
| 杉 | 約43kg |
| クスノキ | 約54kg |
| ケヤキ | 約65〜76kg |
ケース2|奥行70cm × 長さ4m × 厚み7cm
体積 = 0.7 × 4.0 × 0.07 = 0.196立方メートル
| 樹種 | おおよその重さ |
|---|---|
| 杉 | 約78kg |
| クスノキ | 約98kg |
| ケヤキ | 約118〜137kg |
ケース3|奥行90cm × 長さ4m × 厚み8cm
体積 = 0.9 × 4.0 × 0.08 = 0.288立方メートル
| 樹種 | おおよその重さ |
|---|---|
| クスノキ | 約144kg |
| ケヤキ | 約173〜202kg |
大判のケヤキになると、200kgに迫ります。天板だけでこの重量です。

床の積載荷重という考え方
建築基準法施行令では、床の構造計算に用いる積載荷重が用途別に定められています。
- 住宅の居室:1平方メートルあたり1800N(およそ180kg相当)
- 事務室:2900N(およそ296kg相当)
- 百貨店または店舗の売場:2900N(およそ296kg相当)
飲食店がどの区分で扱われるかは、設計上の判断になります。店舗の売場に準じて扱われることがありますが、個別に設計者へご確認ください。
面で見るか、点で見るか
ここが実務上の要点です。
面荷重としては、多くの場合問題にならない
ケース3(約200kg)で考えます。
天板は 0.9m × 4.0m = 3.6平方メートルの面積を占めます。単純に割ると、1平方メートルあたり約56kg。積載荷重の範囲内に収まります。
さらに、カウンター上の食器・機器、客の肘、スタッフの作業を加えても、面としての荷重はそれほど大きくなりません。
問題は、集中荷重
荷重は脚(支持部)を通じて床に伝わります。
脚が4本で、天板・支持構造・積載物の合計が250kgだとすれば、1本あたり約62kg。これが数平方センチメートルの接地面にかかります。
この局所的な圧力が、床仕上げを凹ませたり、下地を傷めたりする原因になります。
実務的な対策
1. 接地面積を広げる
- 接地面積の広い脚を選ぶ
- 脚の下に敷板(座板)を入れて荷重を分散する
- 連続した幕板や台輪で支持する
2. 支持点を増やす
脚の本数を増やす、または連続した下地で支える。点で支えるより、線や面で支えるほうが安全です。
3. 建物の構造に合わせる
- 梁の位置に支持点を合わせられるか
- 壁際は構造的に強い傾向がある
- 木造の2階、ALC床、デッキプレート床では、それぞれ注意点が異なります
これらは設計者・構造設計者の判断領域です。

テナントビルで確認すべきこと
賃貸の店舗物件では、建物側の条件があります。
- 床の設計荷重(管理会社・オーナーに確認)
- 重量物の搬入・設置に関する制限
- 搬入経路の床の養生要件
- エレベーターの積載重量(大型天板は載らないことがあります)
- 共用部の使用申請
エレベーターに載らない場合、階段搬入や、窓からの吊り上げを検討することになります。これは費用に直結するので、早い段階で確認してください。
搬入時の人数
設置作業も重量に依存します。
| 重さ | 目安の人数 |
|---|---|
| 〜30kg | 2人 |
| 30〜60kg | 2〜3人 |
| 60〜100kg | 3〜4人 |
| 100kg以上 | 4人以上+機材・養生 |
階段がある場合は、さらに人数が必要になります。
重さは、性能でもある
最後に付け加えておきます。
重い=密度が高い=硬く傷に強いという関係があります。ケヤキが店舗カウンターに選ばれてきたのは、この重さと硬さゆえです。
軽さを優先するなら杉やヒノキという選択肢がありますが、傷の入りやすさとセットです。用途に対してどちらを取るか、という判断になります。
まとめ
- 重さは体積 × 気乾比重 × 1000で計算できる
- 奥行70cm×長さ4m×厚7cmのケヤキで約120〜140kg
- 面荷重としては問題にならないことが多い
- 問題は脚に集中する局所荷重。接地面積を広げ、支持点を増やす
- 梁の位置、床の構造は設計者の判断領域
- テナントでは床の設計荷重・搬入経路・エレベーター積載を確認する
- 重い=硬く傷に強い。重さは性能でもある
ご検討中の寸法から重量の目安をお伝えできます。搬入経路のご相談も承ります。
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