不燃木材・準不燃木材とは|店舗で使う前に知っておくこと
2026.10.25
壁や天井に木を使いたい。しかし内装制限がかかる。
このとき選択肢になるのが、不燃木材・準不燃木材です。ただし、これらには知っておくべき制約があります。
この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、その仕組みと限界を整理します。
あらかじめお伝えしておくと、弊社はこれらの認定材を扱っておりません。無垢の銘木を扱う立場から、使い分けの考え方を整理する記事です。個別の法令判断は、必ず設計者と所轄行政庁にご確認ください。

不燃材料という区分
建築基準法施行令では、火災時の性能に応じて材料が区分されています。燃えにくい順に、
| 区分 | 加熱に耐える時間の目安 |
|---|---|
| 不燃材料 | 20分間 |
| 準不燃材料 | 10分間 |
| 難燃材料 | 5分間 |
求められる性能は、おおむね次の3点です。
- 燃焼しないこと
- 防火上有害な変形、溶融、き裂などの損傷を生じないこと
- 避難上有害な煙またはガスを発生しないこと
木材は本来、これらを満たしません。そこで薬剤を使います。
不燃木材のつくり方
木材に、リン酸系やホウ酸系などの難燃薬剤を加圧注入し、内部まで浸透させます。
この処理により、加熱されても燃焼が抑制され、炭化層が形成されて内部への延焼が遅れる。この性能を試験で確認し、国土交通大臣の認定を受けたものが、不燃木材・準不燃木材として流通します。
認定は「仕様の組み合わせ」で取られる
ここが実務上、最も重要な点です。
認定は、「木材一般」に対して与えられるものではありません。樹種・厚さ・薬剤の種類と注入量・使用部位といった仕様の組み合わせに対して取得されます。
したがって、
- 認定された仕様どおりに使わなければ、認定材として扱えません
- 現場で厚みを削る、樹種を変える、といった変更はできません
- 認定番号と仕様書の確認が必須です
設計図書には、認定番号まで記載しておくのが確実です。

白華(はっか)というリスク
不燃木材特有の現象として、白華があります。
注入された薬剤が、湿度の影響で表面に析出し、白い粉状のものが浮き出る現象です。
- 湿度の高い環境で起こりやすい
- 見た目に影響する
- 拭き取っても、条件が変わらなければ再発することがある
飲食店の厨房まわりや、浴場のある施設は、湿度が高くなりがちです。不燃木材を使う場合は、この点をメーカーに確認してください。
屋外での使用は、雨がかりによる薬剤の流出も含めて、さらに慎重な検討が必要です。
厚物では認定が現実的でない
ここが、一枚板との決定的な違いです。
厚さ5cm、7cmという無垢材に、内部まで均一に薬剤を浸透させることは、技術的にもコスト的にも現実的ではありません。
流通している不燃木材の多くは、薄物です。
- 羽目板
- 突板を貼った化粧板
- 挽き板
- 薄い縁甲板
つまり、「厚い無垢の一枚板を、不燃認定材として壁に使う」という選択肢は、基本的に存在しません。
だから、使い分ける
この事実を踏まえると、設計の解は明確になります。
壁・天井(制限対象)には
- 不燃木材・準不燃木材を使う
- または、木以外の認定材で仕上げる
床・家具(対象外と解される部位)には
- 無垢の一枚板を使う
内装制限の対象は一般に壁及び天井の室内に面する部分とされ、床は対象外、独立した可動家具も一般に対象外と解されます。
一枚板のカウンターやテーブルが店舗で成立しているのは、この構造によるところが大きいのです。

組み合わせの実例的な考え方
たとえば、内装制限のかかる飲食店で木の空間をつくる場合。
| 部位 | 素材の考え方 |
|---|---|
| 天井 | 準不燃または不燃の認定材 |
| 壁 | 不燃木材の羽目板、または左官・タイル等 |
| 床 | 対象外。無垢のフローリングも選択肢 |
| カウンター | 独立家具として無垢の一枚板 |
| テーブル・椅子 | 無垢材 |
「木の空間」の印象は、実際に手が触れる部分で決まります。壁と天井を認定材でおさえ、触れる場所に本物の無垢材を置く。これが、法令と質を両立させる現実的な設計です。
確認すべきこと
不燃木材を採用する場合、メーカーに次を確認してください。
- 認定番号と認定内容
- 認定された仕様(樹種・厚さ・薬剤量・使用部位)
- 白華の可能性と、想定される環境での実績
- 施工上の制約(切断、加工の可否)
- 経年での性能維持についての考え方
まとめ
- 不燃/準不燃/難燃は建築基準法上の区分
- 不燃木材は薬剤を加圧注入し、大臣認定を受けたもの
- 認定は樹種・厚さ・薬剤量・部位の組み合わせに対して取られる
- 白華という固有のリスクがある。湿度の高い環境では要確認
- 厚い無垢材の不燃認定は現実的でない。流通は薄物が中心
- したがって、壁・天井は認定材、床・家具は無垢材という使い分けになる
- 木の印象は手が触れる場所で決まる
無垢材としての一枚板については、仕様のご相談に応じます。認定材との組み合わせを前提とした設計でも、木材の側からお力になれます。
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