バー・ラウンジのカウンター|夜の照明で映える木を選ぶ
2026.10.22
バーやラウンジのカウンターは、他の飲食店とは光の条件が根本的に違います。
昼の自然光ではなく、夜の低照度。間接照明と、限られたスポット。この環境で木がどう見えるかは、明るい倉庫で板を見ただけでは判断できません。
この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、バー・ラウンジのカウンター材について整理します。

低照度では、木の見え方が変わる
明るい場所で選ぶと失敗する
木材店の倉庫や、昼間のショールームで見た印象と、夜のバーでの見え方は大きく違います。
- 色は沈む。明るい木は「ぼやけた白」に、濃い木は「黒」に近づく
- 木目のコントラストは落ちる。細かい表情は見えなくなる
- 代わりに、杢と艶が立つ。光の反射で浮き上がる要素が主役になる
つまり、低照度では「木目」より「光の反射」で見せることになります。
選ぶときのコツ
材を見るとき、照度を落として確認してください。弊社での見学時に、照明を落とした状態や、スポットを一方向から当てた状態で見ていただくことができます。
可能であれば、実際の店舗で使う照明器具の色温度(電球色か、昼白色か)も想定して見てください。色温度が低い(電球色)ほど、木の赤みが強く出ます。
艶をどう扱うか
他の業態と判断が分かれるところです。
日本料理店や寿司店ではツヤ消しを推奨しますが、バーでは艶ありも有力な選択肢になります。
艶あり(グロス/セミグロス)
- 間接照明を反射し、カウンターのラインが光る
- グラスやボトルの映り込みが生まれる
- 高級感、都会的な印象
- ただし、指紋や水滴の跡が目立つ
ツヤ消し(マット)
- 落ち着いた、木そのものの質感
- 和の設え、隠れ家的な空間に合う
- 指紋が目立ちにくい
店のコンセプト次第です。カウンターを光らせたいのか、沈ませたいのか。これは意匠の判断なので、設計者・デザイナーと決めてください。

樹種の選び方
色の濃い、深みのある材
低照度では、濃い色の材が空間を引き締めます。
- ケヤキ:経年で飴色へ深まる。硬く業務用途に耐える
- 紅椨(ベニタブ):赤みの強い材。落ち着いた深い色
- クスノキ:大径木が取れるため、幅の広いカウンターに
杢のある材
低照度では杢が主役になります。光の角度で浮き上がる玉杢や縮み杢は、バーの照明と相性が良い。
ただし杢は写真では伝わりません。必ず実物を、照度を落として確認してください。
幅の広い材
バーカウンターは、客側にグラスと肘、バーテンダー側に作業領域が必要です。奥行が広くなりがちなので、大径木が取れる樹種(クスノキ、紅椨)が候補になります。
バー特有の実務条件
グラスの結露
冷たいグラスは必ず結露します。水滴がカウンターに落ち続ける環境です。
- 塗膜のないオイル仕上げや白木は、輪染みが避けられません
- ウレタン仕上げを強く推奨します
- コースターの運用を徹底する
アルコール
こぼれた酒、拭き取りに使うアルコール。いずれも塗膜を傷める可能性があります。
- アルコールは布に取ってから使う。直接かけない
- 高濃度のスピリッツがこぼれたら、すぐ拭く
営業時間と湿度
夜間営業で空調を使い、閉店後に止める。この温湿度の変動幅は、木にとって負担になります。
天板の上下・表裏で環境の差ができないよう、カウンター下の通気を設計で確保してください。

寸法の考え方
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| カウンター高さ | 100〜110cm(ハイスツール使用時) |
| ハイスツール座面高 | 65〜75cm(差尺25〜30cmを確保) |
| 客側の天板奥行 | 30〜40cm |
| カウンター全体の奥行 | 50〜70cm(作業領域を含む) |
| 1人あたりの幅 | 55〜65cm |
スツールを先に決めてから、カウンター高さを決めるほうが確実です。座面高に差尺を足して天板高を出し、そこから天板厚を引いて脚(または支持構造)の高さを決めます。
足元
ハイスツールでは、フットレストの位置が座り心地を大きく左右します。カウンターの下部に設けるか、スツール側に持たせるかを設計段階で決めてください。
照明計画とセットで考える
これが、バーのカウンター設計で最も重要な点かもしれません。
- 光の方向:真上から当てるか、斜めから当てるか。杢の見え方が変わります
- 色温度:電球色は木の赤みを引き出す
- カウンター下の間接照明:天板の小口(断面)を光らせると、厚みが際立ちます
- ボトル棚の照明との関係:カウンターが明るすぎると、棚が沈みます
材を決めてから照明を決めるのではなく、両方を同時に検討してください。見学時に設置予定の照明条件をお知らせいただければ、それに合う材をご提案できます。
まとめ
- 低照度では木目より光の反射で見せることになる
- 材は必ず照度を落として確認する
- バーでは艶ありも有力。店のコンセプト次第
- 濃い色、杢のある材、幅の広い材が候補
- 結露とアルコールへの備えとして、ウレタン仕上げを推奨
- 寸法はスツールから逆算する
- 照明計画と材の選定は同時に進める
バー・ラウンジの案件のご相談を承っています。照明計画がわかる図面があれば、より具体的にご提案できます。
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