一枚板の仕上げ|鉋・サンダー・磨きで変わる手触り
2026.10.09
一枚板を触ったとき、「気持ちいい」と感じるかどうか。これを決めているのは、樹種だけではありません。仕上げです。
同じ板でも、どう表面をつくるかで手触りはまったく変わります。この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、仕上げの工程を解説します。

仕上げには大きく2つの系統がある
削る(鉋)
刃物で木を切る仕上げです。
研く(サンドペーパー・サンダー)
研磨材で木を擦る仕上げです。
この二つは、原理がまったく違います。そして、できあがる表面も違います。
鉋(かんな)仕上げ
日本の木工が磨き上げてきた技術です。
よく研いだ刃で木を薄く削ぎ取ると、木の細胞が切断面で押し潰されずに、きれいに切れます。
特徴
- 表面が平滑になり、光沢が出る
- 細胞が潰れていないため、水を弾きやすいといわれる
- 木目が引き締まって見える
- 独特の、しっとりとした手触り
難しさ
一枚板の広い面を鉋だけで仕上げるのは、簡単ではありません。
- 木目が逆目になる部分があると、削ると毛羽立つ
- 杢の出た材は、繊維の向きが複雑で難度が上がる
- 面積が大きいため、平面を出すのに技術が要る
鉋仕上げが特別とされるのは、この難しさゆえです。
研磨(サンドペーパー・サンダー)仕上げ
現代の家具づくりで主流の方法です。
サンドペーパーの番手を、粗いものから細かいものへ順に上げていきます。
番手の進め方の例
| 番手 | 目的 |
|---|---|
| #80〜#120 | 平面を出す。加工跡を消す |
| #180〜#240 | 前の番手の傷を消す |
| #320〜#400 | 仕上げ。手触りを整える |
| #600以上 | さらに滑らかに。塗装前の最終調整 |
飛ばしてはいけません。#120からいきなり#400に飛ぶと、粗い傷が消えずに残ります。塗装をすると、その傷が浮き出て見えます。
特徴
- 平面を出しやすく、安定した仕上がりになる
- 木の繊維が細かく毛羽立つため、塗料が染み込みやすい
- オイル仕上げとの相性がよい

うづくり(浮造り)
もうひとつ、日本の伝統的な仕上げがあります。
うづくりは、木の表面を専用のブラシなどで擦り、やわらかい早材の部分を削り取って、硬い晩材を浮き上がらせる技法です。
結果として、年輪の凹凸が手で感じられる表面になります。
向く樹種
年輪の硬軟差がはっきりしている針葉樹(杉、ヒノキ)や、環孔材の栗などに向きます。
効果
- 木目を手のひらで感じられる
- 滑りにくくなる
- 経年で汚れが目立ちにくい
仕上げと塗装の関係
仕上げの方法は、その後の塗装と密接に関わります。
| 仕上げ | 向く塗装 |
|---|---|
| 鉋仕上げ | 拭き漆、薄いオイル。塗膜を作らない仕上げ |
| 研磨仕上げ | オイル、ウレタンいずれも |
| うづくり | オイル。凹凸を埋めないもの |
研磨の番手を上げすぎると、塗料が染み込みにくくなるという側面もあります。オイル仕上げの場合、#320〜#400程度で止めることが多いのはこのためです。
手触りの好みは分かれる
どの仕上げが優れているという話ではありません。
- つるつるした滑らかさが好きな方
- しっとりとした吸い付く感触が好きな方
- 木目の凹凸を感じたい方
好みは人それぞれです。可能であれば、実物を触ってお決めいただくのがいちばん確実です。
弊社では実物のご見学を承っています。ご希望の際は事前にお問い合わせください。

お手入れで表面を保つ
仕上げた表面は、使ううちに少しずつ変化します。
- オイル仕上げなら、年1〜2回の塗り直し
- 傷が深くなったら、削り直して仕上げ直す
一枚板は、表面をやり直せます。十年後に「もう一度、あの手触りに」と思ったら、それができる。これは突板や集成材にはない利点です。
まとめ
- 仕上げには削る(鉋)と研く(研磨)の二系統がある
- 鉋仕上げは光沢が出て水を弾きやすいが、難度が高い
- 研磨は番手を順に上げる。飛ばすと傷が残る
- うづくりは木目を手で感じられる仕上げ
- 仕上げと塗装は密接に関わる
- 手触りの好みは人それぞれ。触って決めるのが確実
仕上げについてのご相談を承っています。お問い合わせには3営業日以内を目安にご返答しています。
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