樹齢1400年の杉とは|八代坂本村の天然記念物が天板になるまで
2026.09.26
木六竹八が扱う材のなかに、樹齢1400年の杉があります。
千四百年。西暦にすれば、六〇〇年代です。日本に仏教が伝わって間もない頃に芽を出し、以来ずっと熊本の同じ場所に立ち続けた木ということになります。
この記事では、その木がどのような経緯で天板になったのかをご紹介します。

坂本村という土地
八代市坂本町、かつての坂本村は、球磨川の中流域にある山あいの土地です。
球磨川は日本三大急流のひとつに数えられる川で、その流域の山は深い。人里から少し入れば、そこはもう森です。この杉は、そうした土地で千四百年のあいだ立っていました。
百済の文献に残るという杉
この杉は、百済の文献にも名を残したと伝えられています。
地域の象徴として愛され、天然記念物として守られてきました。風雨に耐え、季節の移ろいを見守りながら、長い歴史を語る語り部のような存在だった、と。
なぜ伐られたのか
ここが、この木の物語の核心です。
年月を経て、老朽化が進みました。ある日、村の人々はこの木が倒れる危険に気づきます。
そのまま放置するわけにはいきません。慎重に議論が重ねられました。天然記念物として守られてきたこの杉は、本来なら伐採が許されない存在です。
しかし、安全を最優先に考えた結果、文化財保護法に基づいて登録を解除し、切り倒すことが決定されました。
これは、木を惜しむ気持ちがなかったからではありません。むしろ逆です。この木の歴史と魂を、次の形で生かすための選択でした。
三十年の乾燥
伐採された杉は、すぐに使われることはありませんでした。
三十年の歳月をかけて乾燥させる。これがこの材に与えられた次の時間です。
木は、伐られたあとも水分を抱えています。それが抜けきるまで、木は動き続けます。厚みのある材ほど、乾くのに時間がかかる。製材の世界では、板厚1インチ(約2.5cm)につき1年が自然乾燥の目安といわれます。
千四百年立っていた木にとって、三十年は長い時間ではなかったのかもしれません。その間に、材はさらに美しさと力強さを深めていきました。

乾いた杉が見せたもの
乾燥を終えた杉の木材には、見事な木目が浮かび上がっていました。
千四百年という年月が刻んだ年輪は、極めて細かく詰まっています。針葉樹でありながら、若い杉とは比較にならない密度と、重厚感がある。長い時間を経た木だけが持つ、独特の艶があります。
天然記念物と文化財保護法について
この杉のように、天然記念物に指定された木が伐採されるのは、きわめて例外的なことです。
文化財保護法のもとで指定された天然記念物は、現状を変更することが原則として認められません。倒木の危険といった、公共の安全に関わる事情があってはじめて、指定の解除や現状変更が検討されます。
つまりこの杉が天板になっているという事実そのものが、それだけの議論と判断を経た結果だということです。
価格を「ASK」としている理由
弊社の商品ページでは、この杉の価格を「ASK(お問い合わせ)」としています。
もったいぶっているわけではありません。状態や、どこまで加工するかによって条件が変わるためです。どの部分をどう使うか、どのような仕上げにするかで、まったく違う話になります。
使い方が決まっていない段階でもかまいません。気になる方は、遠慮なくお尋ねください。

この木を迎えるということ
この杉を手にする方は、その深みと重みを感じられると思います。
千四百年の時を超えて生き続けてきたこの木は、自然と歴史、そして人々の想いが融合した存在です。迎え入れた場所に新しい物語を紡ぎ出し、未来へとつなぐ架け橋になるはずです。
木六竹八は、7代にわたり木こりを生業としてきた家系です。受け継いできた名木を、次の世代へ渡していく。それが私たちの仕事です。
まとめ
- 熊本県八代・坂本村で千四百年立ち続けた杉
- 百済の文献に名を残すと伝えられる、地域の象徴
- 倒木の危険から、文化財保護法に基づき登録を解除して伐採
- 伐採後三十年の自然乾燥を経て、いま材として存在している
- 価格は状態と加工内容によるためASK(お問い合わせ)としています
この杉についてのお問い合わせを承っています。実物のご見学もご相談ください。お問い合わせには3営業日以内を目安にご返答しています。
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