保健所の営業許可と内装|木の天板で確認しておきたいこと
2026.10.26
飲食店を開業するには、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。
建築基準法、消防法と並んで確認が必要な三つ目の領域ですが、木の天板との関係では論点が少し違います。
この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、押さえておきたい考え方を整理します。
はじめにお断りします。弊社は木材の販売業者であり、食品衛生に関する判断を行う立場にはありません。施設基準の運用は自治体・保健所によって異なります。必ず所轄の保健所に事前相談してください。

施設基準という考え方
営業許可には、施設が一定の基準を満たしていることが求められます。
基準の趣旨は明快です。食品を衛生的に取り扱える構造であること。具体的には、
- 清掃しやすい構造・材質であること
- 汚染を防止できること
- 必要な設備(洗浄設備、手洗い設備など)が備わっていること
- 区画が適切であること
といった内容が中心になります。
木の天板との関係は「どこに使うか」で変わる
ここが要点です。
調理場・食品を直接扱う面
保健所の関心が最も高いのは、食品が直接触れる面と調理作業を行う面です。
この領域では、一般に洗浄しやすく、清掃が容易な材質が求められます。無塗装の木材は、水分や食品成分を吸収するため、この観点から確認が必要になることがあります。
調理台の天板に無垢材を使いたい場合は、必ず事前に保健所へご相談ください。
客席のテーブル・カウンター(客側)
一方、客が食事をする面は、調理設備とは扱いが異なります。
多くの飲食店で木のテーブルが使われていることからも分かるとおり、客席の天板が問題になる場面は通常多くありません。
ただし、カウンター店では客席と調理場の境界が曖昧になります。ここが確認すべきポイントです。

カウンター店で確認すべきこと
寿司、割烹、天ぷら、鉄板焼き。これらの業態では、一枚のカウンターが、客席と調理場の両方の性格を持つことがあります。
事前相談で確認しておきたいのは、次の点です。
- カウンターのどこまでが調理場の扱いになるか
- 付け台(料理を置いて渡す部分)の材質に要件があるか
- 客席部分と調理場部分の区画をどう取るか
- 手洗い設備の位置と数
- 洗浄設備の要件
設計の早い段階で確認しておけば、素材計画に反映できます。逆に、内装が完成してから指摘を受けると、手戻りが大きくなります。
素材側でできること
塗装で表面を封じる
ウレタン塗装は、木の表面に塗膜を形成します。
- 水分や食品成分の浸透を抑える
- 拭き取り清掃が容易になる
- 塗膜が健全であるかぎり、清掃性は高い
業務用途では、そもそも耐久性の観点からウレタン仕上げを推奨しています。衛生管理の観点からも、塗膜があることは有利に働きます。
ただし、塗膜に深い傷が入ると、そこから水分が入ります。定期的な点検と、必要に応じた再塗装を運用に組み込んでください。
白木を選ぶ場合
寿司店の白木カウンターのように、塗装しない選択をする場合。
- 日常の拭き上げと、定期的な削り直しが前提になります
- この運用が組めるかどうかが判断の分かれ目です
- 保健所への事前相談では、この運用方針も併せて説明するとよいでしょう
伝統的にそうしてきた業態であっても、現在の基準でどう扱われるかは所轄の判断です。思い込みで進めないでください。

木のまな板という論点
関連して、よくご質問をいただく点に触れておきます。
木のまな板は、古くから日本の調理場で使われてきました。朴(ホオ)やヒノキは、刃当たりがやわらかく、まな板の定番材です。
一方、業務用の厨房では合成樹脂製のまな板が使われることも多く、これは洗浄・消毒のしやすさによるものです。
どちらを使うかは、衛生管理の方針と所轄の指導によります。弊社では一枚板から仕上げたまな板も扱っておりますが、業務用途での使用可否については、保健所にご確認ください。
事前相談のすすめ
保健所の施設基準は、自治体によって運用に幅があります。
- 図面ができた段階で、所轄の保健所に事前相談に行く
- 平面図、設備の配置図を持参する
- カウンターの材質と仕上げについても、その場で確認する
この一手間が、後の手戻りを防ぎます。開業スケジュールに、事前相談の時間を組み込んでおいてください。
確認すべき三つの窓口
店舗開業では、所管の異なる三つの確認が必要です。
| 法令 | 窓口 | 主な論点 |
|---|---|---|
| 建築基準法 | 特定行政庁・設計者 | 内装制限、用途、構造 |
| 消防法 | 所轄消防署 | 防炎、消防用設備、厨房設備 |
| 食品衛生法 | 所轄保健所 | 施設基準、設備、区画 |
「一つ確認したから大丈夫」とはなりません。三つとも、基本設計の段階で確認してください。
まとめ
- 営業許可には施設基準への適合が必要
- 木の天板は「どこに使うか」で扱いが変わる
- 調理場・食品に触れる面は確認が必要。客席の天板は通常論点になりにくい
- カウンター店では客席と調理場の境界を事前に確認する
- ウレタン塗装は清掃性の面で有利。ただし塗膜の健全性を保つ運用が必要
- 白木を選ぶなら、運用方針も含めて事前相談を
- 建築・消防・保健所の三つとも確認する
材の仕様や仕上げについては、木材の側からご相談に応じます。保健所への相談時に必要な仕様情報もお出しできます。
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