茶室・和室に合う天板|格と素材の考え方
2026.10.06
和室に一枚板を入れるとき、洋室とは違う考え方が要ります。
和の空間には、素材に対する感覚の蓄積があるからです。何百年もかけて培われてきた「これはこの場にふさわしい」という感覚。それを無視すると、良い材を使ってもどこか落ち着きません。
この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、和の設えに合わせる考え方を整理します。

「格」という感覚
日本の建築や茶の湯には、格(かく)という考え方があります。
格式の高い順に、真(しん)・行(ぎょう)・草(そう)と呼ばれることもあります。書院造のように整った格式を「真」、くだけた数寄屋風を「草」、その中間を「行」とする考え方です。
材にも、この感覚が及びます。
- ヒノキ:もっとも格の高い材とされてきました。神社仏閣、書院に用いられます
- ケヤキ:力強く、格のある材。床の間まわりや框(かまち)に
- スギ:数寄屋や茶室の設えに。やわらかく、くだけた美しさ
- クワ・ホオ・カツラ:茶道具や指物に使われてきた、静かな格
どれが上ということではなく、場に合う格があるということです。格式の高い座敷には整った材を、茶室にはくだけた味わいの材を。そういう合わせ方をします。
樹種ごとの向き
ヒノキ
清潔感と香り。改まった座敷、床の間に。年輪の細かい材ほど格が上がります。
スギ
数寄屋、茶室、居間の座卓に。とくに杢の出た杉(杢杉)は、静かで繊細な表情が和の空間によく合います。
ケヤキ
床の間、書院、格を出したい場に。木目の力強さが空間を引き締めます。
クワ(桑)
茶道具、茶室の設えに。古くから茶の湯の世界で使われてきた材です。黄金色から飴色へ向かう経年変化が、侘びた空間に馴染みます。
ホオ(朴)
落ち着いた色味が特徴。緑がかった灰白色は、和の空間で静かな存在感を持ちます。
カツラ
穏やかな木目。主張せず、場を整える材です。

耳をどうするか
和室では、耳付きにするか、落とすかの判断が印象を大きく左右します。
耳付きが合う場面
- 数寄屋、茶室など、自然な風合いを尊ぶ空間
- 居間の座卓として、くつろいだ雰囲気をつくりたいとき
耳を落としたほうが合う場面
- 格式の高い座敷
- 床の間の地板など、直線で構成された場所
- 造作に組み込む場合
整った空間には整った直線を、くだけた空間には自然な曲線を。これが基本の合わせ方です。
面取りの選び方
和の設えでは、面の取り方も印象を変えます。
- 糸面:ごくわずかに角を取る。シャープで端正
- 角面:45度に落とす。すっきりした納まり
- 丸面:当たりがやわらかい。座って使う場に向く
座卓のように床に座って使うものは、腕や手が当たるため、丸面が実用的です。
座卓として使う場合
高さ
| 座り方 | 天板上面の高さ目安 |
|---|---|
| 座布団に直接座る | 32〜35cm |
| 座椅子を使う | 35〜38cm |
もっとも一般的なのは33cm前後です。
畳の上での注意
- 脚の跡が残る:接地面積の広い脚を選ぶか、敷板を入れる
- 湿気がこもる:ときどき位置をずらし、風を通す
厚み
床に座ると天板が近くなるため、厚すぎると圧迫感が出ます。3〜4cm程度でも十分に成立します。厚みを抑えられるぶん、価格も抑えやすくなります。

床の間まわりに使う場合
床の間の地板(じいた)や框(かまち)に一枚板を使うという方法もあります。
この場合は、造作として組み込むことになるため、寸法の精度が要求されます。大工さんや工務店と事前に打ち合わせのうえ、必要な寸法をお知らせください。
弊社ではご希望のサイズへのカットを承っています。ただし加工をご依頼いただいた商品は返品をお受けできません。寸法は慎重にご確認ください。
仕上げの選び方
和の設えでは、過度な光沢を避けるのが基本です。
- オイル仕上げやツヤ消しのウレタンが馴染みやすい
- 鏡面のような光沢は、和室では浮くことがあります
拭き漆という選択肢もあります。漆を薄く塗っては拭き取る工程を繰り返す日本の伝統的な仕上げで、深い艶と堅牢さが得られます。手間と費用はかかります。
まとめ
- 和の空間には格という感覚がある。場に合う材を選ぶ
- ヒノキは格が高く、スギは数寄屋・茶室に、ケヤキは力強さを出す場に
- 整った空間には直線、くだけた空間には耳付き
- 座卓は高さ33cm前後、厚みは3〜4cmでも成立する
- 仕上げは過度な光沢を避ける
和室・茶室の設えについてのご相談を承っています。設置場所の写真や寸法をお知らせいただけると、具体的にご提案できます。
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