カウンター高さとバリアフリー|誰が座るかで決める寸法
2026.10.26
カウンターの高さは、誰が座るかで決まります。
スタンディングか、椅子座か、車椅子か。この判断を設計の早い段階で行っておかないと、完成してから「使えない席」が生まれます。
この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、高さ設計の考え方を整理します。
なお、バリアフリーに関する法令・条例の要求水準は、建築物の規模・用途・所在地によって異なります。具体的な適合判断は、必ず設計者および所轄の窓口にご確認ください。弊社は木材の販売業者であり、法的な判断を行う立場にはありません。

高さの基本式
一枚板は天板です。高さは次の式で決まります。
天板上面の高さ = 支持部(脚・下地)の高さ + 天板の厚み
厚み7cmの天板で、上面を72cmにしたいなら、支持部は65cm。天板の厚みを変えれば、高さも変わります。厚み4cmから7cmに変更すれば、同じ支持部でも3cm高くなります。
この3cmは、体感ではっきり分かります。厚みの決定と高さの決定は、同時に行ってください。
用途別の高さ
| 形式 | 天板上面の高さ | 使う椅子 |
|---|---|---|
| 座卓 | 32〜38cm | 座布団・座椅子 |
| ダイニング・一般の食事 | 70〜72cm | 座面高40〜45cm |
| 作業用カウンター(立位) | 85〜90cm | なし |
| ハイカウンター | 100〜110cm | ハイスツール座面高65〜75cm |
| バーカウンター | 100〜110cm | ハイスツール |
差尺という指標
座って使う場合、天板上面と座面の高さの差が使い勝手を決めます。これを差尺といいます。
- 食事・書きもの:27〜30cm
- キーボード作業:25〜28cm程度がやや楽
椅子を先に決めてから、天板高を決めるほうが確実です。
| 椅子の座面高 | 天板上面の目安 |
|---|---|
| 40cm | 67〜70cm |
| 42cm | 69〜72cm |
| 45cm | 72〜75cm |
| 65cm(ハイスツール) | 90〜95cm |
| 70cm(ハイスツール) | 95〜100cm |

天板下の空き寸法
見落とされやすいのがここです。
天板の下面から床までの高さが、膝の入るスペースになります。
- 一般の椅子座:60cm以上あると、ほとんどの方が窮屈さを感じません
- 厚い天板を使う場合、その分だけ支持部を高くする必要があります
肘掛けのある椅子を使う場合は、肘掛けの高さも測ってください。天板の下に収まらないと、椅子を引いたまま使うことになります。
車椅子で使える高さ
誰もが使える店をつくるうえで、押さえておきたい寸法です。
一般的なユニバーサルデザインの考え方として、車椅子利用者が使いやすい寸法には次のような目安が挙げられます。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 天板上面の高さ | 70〜75cm程度 |
| 天板下の空き高さ | 65cm以上 |
| 天板下の空き奥行 | 45cm以上 |
| 天板下の空き幅 | 75cm以上 |
重要なのは「天板下に膝と車椅子のアームが入ること」です。高さだけ合っていても、幕板や支持構造が膝の位置にあれば使えません。
支持は、この空き寸法を避けた位置に設けてください。
なお、これらは一般的な目安です。具体的な要求水準は、法令・条例および設計者の判断によります。
一部を低くするという設計
全長を同じ高さにする必要はありません。
段差を設ける
- 主部をハイカウンター(100〜110cm)、一部を70〜75cmに下げる
- 下げた部分の下に、膝が入る空間を確保する
ホテルのフロント、物販店のレジ、バーのカウンターなどで有効です。
一枚板での実現方法
一枚板は一枚の板なので、段差をつけるには次のいずれかになります。
- 2枚の材を使い、高さを変えて並べる(継ぎ目が出ます)
- 一枚の材を、支持部の高さを変えて設置する(天板が傾きます。現実的ではありません)
- 低い部分だけ別材にする
現実的なのは1か3です。継ぎ目の位置を、段差の位置と合わせると自然に納まります。

業態別の考え方
寿司・割烹
付け台との高低差が設計の核心です。客側の高さ、板場の立ち位置、料理を渡す動作から決めてください。
バー
ハイスツールを先に決める。フットレストの位置も座り心地を大きく左右します。
ホテルのフロント
立位対応(100〜110cm)を主としつつ、車椅子対応部を設けることを検討してください。
旅館の客室
座卓なら32〜38cm。ただし高齢の客が多い施設では、椅子座の席を用意するという選択肢も検討に値します。
決める前に、実寸で試す
図面上の数字だけでは判断しきれません。
- 段ボールや角材を積んで、検討中の高さをつくる
- 実際に椅子に座り、腕を置いてみる
- 車椅子での確認ができるなら、必ず行う
- 数センチずつ変えて比べる
2〜3cmの違いが、体感でははっきり分かります。この確認をしておくと後悔しません。
まとめ
- 高さは「支持部 + 天板厚」。厚みを変えれば高さも変わる
- 椅子を先に決め、差尺(27〜30cm)から逆算する
- 天板下の空きは椅子座で60cm以上
- 車椅子対応は上面70〜75cm、下の空き高さ65cm以上・奥行45cm以上が一つの目安
- 支持構造が膝の位置に来ないようにする
- 一部を低くする設計は、2枚使いか別材併用で実現する
- 決める前に実寸で試す
高さと厚みの組み合わせについて、ご相談を承っています。お使いになる椅子の座面高と用途をお知らせください。
あわせて読みたい:天板の高さ|ダイニング・カウンター・座卓の基準寸法