会員制店舗・個室の設計|素材で特別感をつくる
2026.10.23
会員制のバー、紹介制の料理店、完全個室の日本料理。
これらに共通するのは、限られた人数に対して、高い密度の体験を提供するという構造です。席数が少ないぶん、一席あたりに投じられる原価は上がります。
この業態こそ、一枚板がもっとも合理的に機能します。この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、その理由と設計の考え方を整理します。

席数が少ないほど、素材投資は合理的になる
単純な計算です。
- 20席の店で全席に一枚板を入れるのは大きな投資
- 6席の会員制バーなら、一枚のカウンターで全席がカバーできる
しかも客単価が高い。投資回収の見通しが立ちやすいのが、この業態の構造的な有利さです。
「一点もの」という価値が、そのまま刺さる
会員制・紹介制の店に来る客が求めているのは、ここでしか得られないものです。
一枚板は、その定義上世界に一つしかありません。
- 耳のかたちは、その木の外周そのもの
- 杢は偶然生まれ、狙って作れない
- 樹齢と産地は、複製できない
「このカウンターと同じものは、世界のどこにもありません」
この一文が、そのまま店の価値になる。他の業態では付加価値でしかないものが、ここでは本質になります。
来歴を語れる材を選ぶ
会員制の店では、素材の背景が会話の資源になります。
弊社が扱う材には、来歴を語れるものがあります。
- 樹齢1400年の杉:熊本・八代の坂本村で千四百年立ち続けた木。百済の文献にも名を残したと伝えられ、天然記念物でした。倒木の危険から文化財保護法に基づいて登録を解除して伐採され、その後三十年の自然乾燥を経ています
- 霧島神宮のご神木であった樹齢500年の檜葉
- 樹齢500年の紅椨(ベニタブ):室町時代から立っていた照葉樹
- 菊池水源の樹齢200年のケヤキ:日本名水百選の水源地で育った材
その木がどこで、どれだけの時間を過ごしたか。これを語れることが、会員制という業態の商品価値に直結します。
弊社では、材の樹齢・産地・来歴をお伝えできます。その材の由来を記した書面についてもご相談ください。

小さな空間の寸法設計
個室や小規模店舗では、寸法の制約が厳しくなります。
カウンターの長さ
席数×1人あたり幅(会員制では65〜75cmとゆったり取ることが多い)+端部の余裕。
6席なら、4.5m前後。弊社の取り扱いは最長4m程度ですので、この規模になると継ぎの検討が必要です。
継ぐ場合は、継ぎ目の位置を席の区切りに合わせると自然に納まります。
個室のテーブル
| 定員 | 幅 | 奥行 |
|---|---|---|
| 2名(対面) | 90〜120cm | 70〜80cm |
| 4名 | 140〜160cm | 80〜90cm |
| 6名 | 180〜210cm | 85〜90cm |
個室ではテーブルが空間を占める割合が大きいため、通路の余裕(テーブル端から60〜80cm)を必ず確保してください。
座敷の個室
座卓なら高さ32〜35cm(座布団)、35〜38cm(座椅子)。厚みは3〜4cmで成立します。
照明との関係
会員制の店は、低照度であることが多い。
低照度では、木目より光の反射で見せることになります。
- 色は沈む。明るい木はぼやけ、濃い木は黒に近づく
- 杢と艶が主役になる
- 光の方向で見え方が大きく変わる
材を選ぶときは、照度を落とした状態で確認してください。弊社での見学時に、照明を落とした状態や、一方向からのスポットで見ていただくことができます。
樹種と仕上げ
| 重視すること | 樹種 |
|---|---|
| 深い色と存在感 | ケヤキ、紅椨 |
| 幅の広さ | クスノキ、紅椨 |
| 静かな格 | 桑、朴、桂 |
| 和の清冽さ | ヒノキ |
仕上げは、店のコンセプト次第です。
- 和の設え、隠れ家的空間 → ツヤ消し
- 都会的、光を反射させたい → 艶ありも選択肢
いずれの場合も、業務用途としてはウレタンを推奨します。アルコールや結露に対して、オイル仕上げは弱すぎます。

改装という機会
新規開業だけでなく、既存店の一部屋だけを変えるという使い方も有効です。
- 個室のひとつだけ設えを変え、上位の部屋として単価を上げる
- カウンターだけ入れ替える
- 待合・エントランスに一点置く
全体を変えずに、一点だけ格を上げる。投資効率としては、これが最も高いことがあります。
スケジュール
| 工程 | 目安 |
|---|---|
| 材の選定・ご相談 | 早いほどよい |
| 加工(カット・仕上げ) | 最短2週間〜2か月程度 |
| 配送・納品 | サイズと配送先により個別調整 |
なお、加工をご依頼いただいた商品は返品をお受けできません。
熊本県および九州圏内であれば、加工した商品を店舗へ納品できる場合があります。
まとめ
- 席数が少ないほど、素材投資は合理的になる
- 「世界に一つ」という一枚板の定義が、そのまま業態の価値になる
- 来歴を語れる材を選ぶ。樹齢・産地・由来が会話の資源になる
- 小空間では通路の余裕を先に確保する
- 低照度では照度を落として材を確認する
- 業務用途としてはウレタン。艶の有無はコンセプト次第
- 一部屋だけ変える改装は投資効率が高い
会員制店舗・個室の案件のご相談を承っています。席数・コンセプト・照明計画をお知らせください。
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