高級旅館のロビーに一枚板|滞在体験を決める最初の一手
2026.10.20
旅館の滞在体験は、門をくぐった瞬間から始まっています。
客が最初に足を止めるのがロビーです。ここで受ける印象が、その後の食事、風呂、客室の評価にまで影響します。最初の数分が、滞在全体の解釈を決める。
この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、旅館のロビーにおける一枚板の使い方を整理します。

ロビーに一枚板を置く意味
1. 「本物である」ことが一瞬で伝わる
樹齢数百年の一枚板は、写真や既製品では代替できない密度を持ちます。木目の細かさ、耳のうねり、厚みの小口。説明しなくても伝わる情報量があります。
高級旅館が売っているのは、突き詰めれば「ここは本物だ」という確信です。素材は、それを最も直接的に伝えます。
2. その土地に来た意味が生まれる
旅館は、その土地にあることが価値です。
地域の木を使うことは、そのまま「ここでしか得られない体験」になります。
- 熊本の旅館に、菊池水源で育った樹齢200年のケヤキ
- 九州の宿に、八代・坂本村の古杉
- 霧島周辺の施設に、霧島のシマ楠
「この木は、この地域で育ちました」と言えることが、地産の食材と同じ意味を持ちます。
3. 写真に写り、共有される
チェックイン時、客はロビーを撮影します。その写真がSNSに流れます。既製品のカウンターは写真に撮られません。
4. 会話が生まれる
「この木は何ですか」と聞かれる。スタッフが答えられる。その応答が、接客の質として記憶されます。

どこに使うか
フロントカウンター
最も効果が大きい場所です。チェックイン・チェックアウトで、全ての客が必ず手を置きます。
- 長さ:フロント業務の動線から決める
- 高さ:立位対応なら90〜110cm、座位対応なら70〜72cm
- バリアフリー対応として、一部を低くする設計も検討を
ラウンジ・ロビーのテーブル
ウェルカムドリンクを出す場、待ち合わせの場。
幅の広い大判の一枚板が映えます。クスノキや紅椨のように大径木が取れる樹種が候補になります。
客室の座卓・文机
滞在時間が最も長い場所です。客が触れ、使い、写真を撮る。
客室数が多い施設では、全室は難しくても、特別室・スイートだけという選択が現実的です。
大浴場の脱衣所・休憩処
湿度が高いため、耐水性のある樹種(クリ、ヒバ)と、確実な塗装が必要です。設計者と換気計画を含めて検討してください。
樹種と仕上げの判断
旅館は不特定多数が長期間使う施設です。業務用途としての判断が優先されます。
| 場所 | 向く樹種 | 仕上げ |
|---|---|---|
| フロントカウンター | ケヤキ、クスノキ、紅椨 | ツヤ消しウレタン |
| ラウンジテーブル | クスノキ、ケヤキ | ツヤ消しウレタン |
| 客室座卓 | 杉、ヒノキ、ケヤキ | ウレタン(傷対策) |
| 湿気の多い場所 | クリ、ヒバ | ウレタン(確実に) |
オイル仕上げは、旅館では原則おすすめしません。清掃スタッフが多数関わる環境で、年1〜2回の塗り直しと輪染み対策を徹底するのは現実的でないためです。
運用ルールを決めておく
素材を守るのは、最終的には日々の運用です。清掃マニュアルに次を入れてください。
- 乾拭きが基本。水拭きは固く絞って、必ず乾拭きで仕上げる
- 研磨剤入りクリーナー、メラミンスポンジは使わない(塗膜を削ります)
- 重曹・アルカリ性洗剤は避ける(タンニンを含む樹種は黒ずむことがあります)
- アルコールは布に取ってから使う
- 熱い器には受け台を使う
スタッフの入れ替わりがある施設ほど、明文化しておく価値があります。

インバウンドという視点
海外からの客にとって、無垢の一枚板は説明が要らない価値です。
木が貴重であること、大きな木が少ないこと、時間をかけて乾かすこと。これらは言語を超えて伝わります。
樹齢を伝えるのが最も効果的です。「This tree was 200 years old.」という一文で、その場の意味が変わります。
樹齢・産地・来歴を記した小さな表示を添えるだけでも、体験の質は変わります。
スケジュールと納品
| 工程 | 目安 |
|---|---|
| 材の選定・ご相談 | 早いほどよい |
| 加工(カット・仕上げ) | 最短2週間〜2か月程度 |
| 配送・納品 | サイズと配送先により個別調整 |
弊社では最長4m程度までの大型商品をお取り扱いしています。
熊本県および九州圏内であれば、加工した商品を納品できる場合があります。それ以外の地域についても、配送方法をご相談ください。なお、海外への発送は原則として対応しておりません。
改装の場合は、営業を止められる期間から逆算してスケジュールを組む必要があります。早い段階でご相談ください。
まとめ
- ロビーは滞在体験の解釈を決める場所
- 一枚板は「本物である」ことを説明なしに伝える
- 地域の木を使うことが、その土地に来た意味になる
- フロント/ラウンジ/客室/脱衣所で、求められる性能が違う
- 旅館ではツヤ消しウレタンが現実解。オイルは運用が難しい
- 清掃マニュアルへの明文化が資産を守る
- 樹齢を伝えることが、インバウンドに最も効く
旅館・ホテルの案件のご相談を承っています。施設の性格・設置場所・改装可能期間をお知らせください。
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