一枚板が手に入りにくくなっている理由|大径木の減少
2026.10.13
一枚板を扱っていて、年々強く感じることがあります。
幅の広い材が、減っている。
これは市場感覚の話ではなく、構造的な理由があります。この記事では、熊本で九州各地の銘木を扱う木六竹八が、その背景を整理します。

幅の広い一枚板には、太い木が要る
当たり前の話から始めます。
一枚板の幅は、元の丸太の太さで決まります。幅80cmの天板を一枚で取ろうとすれば、それ以上の直径を持つ木が必要です。
しかも、芯を外して挽く(心去り)のが天板としては望ましい。芯を含む材は乾燥時に放射状の割れが入りやすいためです。
つまり、幅80cmの心去り材を取るには、さらに太い丸太が要ります。
太い木が育つには時間がかかる
樹種にもよりますが、ケヤキやクスノキが天板になる太さに育つには、百年単位の時間が必要です。
樹齢200年、300年、500年という材は、その年数分の時間がかかっています。これを縮める方法はありません。
戦後の拡大造林という背景
日本の森の姿は、この百年で大きく変わりました。
戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、木材需要が急増しました。これに対応するため、広葉樹林を伐採して、成長の早いスギ・ヒノキを植える政策が進められました。これを拡大造林といいます。
結果として、
- 広葉樹の天然林が減った
- 人工林(針葉樹)の割合が増えた
- ケヤキ、クスノキ、クリといった広葉樹の大径木が育つ場が減った
日本の国土のおよそ3分の2は森林ですが、その多くは人工林です。広葉樹の大径木は、その外側にしか残っていません。

伐期の短縮という問題
もうひとつの要因が、伐期です。
現代の林業では、スギの伐期は50年前後、ヒノキもそれに近い年数が一般的です。経済的には合理的な判断です。
しかし、50年で伐られた木からは、幅の広い一枚板は取れません。
樹齢300年の杉、樹齢200年のケヤキ。こうした材は、誰かが伐らずに残しておいてくれたから、いま存在しています。
大径木が伐られるとき
では、いま出てくる大径木はどこから来るのか。
多くは、次のような事情によるものです。
- 老朽化して倒木の危険がある
- 台風や落雷で損傷した
- 開発や災害復旧でやむを得ない
- 神社の境内や公園の安全管理
計画的に育てられて伐期を迎えた材ではなく、やむを得ず伐られた材が中心です。
弊社が扱う樹齢1400年の杉も、倒木の危険から、文化財保護法に基づいて天然記念物の登録を解除したうえで伐採された木です。
伐りたくて伐られた木ではありません。
乾燥の時間も供給を細くする
さらに、伐ってすぐ使えるわけではありません。
製材の世界では板厚1インチ(約2.5cm)につき1年が自然乾燥の目安といわれます。銘木として扱う厚物では、20年、30年とかけることも珍しくありません。
いま乾いている材は、20年前、30年前に伐られた木です。供給の遅れは、そのまま何十年も続きます。
それでも、育てるという道
暗い話ばかりではありません。
近年、早生広葉樹への注目が高まっています。センダンのように、広葉樹としては成長が早く、計画的に育てられる樹種です。
弊社が扱う樹齢120年のセンダンも、こうした樹種のひとつです。育てて、使って、また育てられる広葉樹。木を扱う仕事をしている立場から言えば、こうした樹種が評価されていくことは素直に喜ばしいことです。
私たちは、自然との共生を大切にし、持続可能な未来を築くことを理念に掲げています。山奥で自然に育った木も、人の手で育てられた木も、どちらも扱う。伐るだけでは山は痩せ、育てるだけではいまある名木は活かせません。

いま手に入る材の意味
この状況を踏まえると、いま市場にある一枚板の見え方が変わります。
樹齢200年のケヤキが、いま目の前にある。それは、
- 二百年、誰かが伐らずに残してきた
- やむを得ない事情で伐られた
- 二十年、誰かが乾かしてきた
という積み重ねの結果です。同じものは、もう出てきません。
一枚板を「高い」と感じる方は多いと思います。私たちがお伝えしたいのは、その価格には、これだけの時間が含まれているということです。
まとめ
- 幅の広い一枚板には、百年単位で育った大径木が要る
- 戦後の拡大造林により、広葉樹の天然林が減った
- 現代の伐期は50年前後。そこからは一枚板は取れない
- いま出る大径木は、多くがやむを得ず伐られた木
- 乾燥に20〜30年かかるため、供給の遅れは長く続く
- 早生広葉樹という新しい可能性もある
いまご紹介できる材について、樹齢と乾燥年数を含めてご案内します。お気軽にお問い合わせください。お問い合わせには3営業日以内を目安にご返答しています。
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